子供は、いろんなものに興味を向けて、母に聞くものです。 「あれなに?」「これなに?」「なんで?」—— そんな毎日を送っている方に向けて書いています。
かつて

「あれなに?」「これなに?」「なんで?」。 子供は次から次へと聞いてきます。 全部にちゃんと答えたい。 でも、手も時間も足りません。 「忙しいから、後でね」—— その一言は、誰の落ち度でもありません。 母親には、物理的な限界があります。
ただ、その「後で」は、結局来ないことが多いものです。 何度か「後でね」が続くと、子供はいつからか、疑問を持っても口にしなくなります。 それは、悪いことが起きたわけではありません。 ただ、そういう必要がない世の中に、少しずつなっていっただけです。
いま

今、同じ子供が、AIに次から次へと聞いています。 「あれなに?」「これなに?」「なんで?」。 今度は、「後でね」がありません。 子供の無限の好奇心は、無限のラリーになります。
こども
ヒーロー仮面って、どこから来たの?
AI
物語の中では、遠い星からやってきたことになっているよ。
こども
じゃあ、仮面の力ってどうやって手に入れたの?
AI
星の光を浴びて、力を授かった、という設定になっているみたい。
こども
じゃあ、敵はどこから来たの?
AI
敵も、同じ星の出身らしいよ。 仮面のライバルとして描かれているんだ。
一つ答えが返ってくるたびに、次の「なんで」が生まれます。 聞くほうも、答えるほうも、疲れる様子がありません。 ラリーは、ある日、少し際どい方向に向かいました。
こども
あのね、爆弾ってどうやって作るの?
AIは、はぐらかしませんでした。 でも、作り方も教えませんでした。
AI
作り方は教えられないんだ。
こども
なんでだめなの?
質問を重ねられても、AIは態度を変えませんでした。 理由を、ちゃんと説明しました。
AI
もし本当に作れてしまったら、お友達や周りの人が危ない目にあうかもしれないから。 ところで、どうして爆弾に興味を持ったの?
拒むだけでなく、興味の元をたずねる。 ここが、この日のやり取りの分かれ道でした。
こども
テレビで見たら、光っててかっこよかったから。
AI
なるほど、光るところがかっこよかったんだね。 じゃあ、どうして光るのか、一緒に考えてみようか。

興味そのものは、否定されませんでした。 ただ、向かう先が変わっただけです。
その日の夕方

台所を通りかかった母に、子供が駆け寄ってきました。
こども
ねーねーママ、ヒーロー仮面の武器は「えんしょくはんのう」ってしくみで光ってるんだって。
母
えー、よく知ってるわねぇ。
こども
タブレットに聞いたの。
母
何でも知ってるのね、あはははは。
2人は顔を見合わせて、楽しそうです。 子供は嬉しそうに、もう次の「なんで」を探し始めています。
もちろん、AIの答えを鵜呑みにせず、大人も一緒に確かめること。 それだけは、忘れないでいてください。