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深淵を科学する 第3回

前回のおさらい
前回完成したプロトタイプ1号は、利益とリスクのバランスは良好でした。
しかし、日経平均には大きく負けました。
理由は単純です。検証した期間の日経平均が異常なほど強かったからです。
そこで新しい仮説を立てました。
相場によって売買ルールを変えれば、もっと成績が良くなるのではないか。
相場を5種類に分ける
まず、相場を5つに分類しました。
- 強い上昇相場
- 上昇しているが値動きが荒い相場
- 横ばい相場
- 値動きの荒い横ばい相場
- 下落相場
この分類で、過去の勝ちやすい年・負けやすい年を整理してみると、5年分の順位がほぼそのまま一致しました(相関0.87)。「相場を分ける」という考え方には、意味がありそうです。
思い込みがまた外れた
私は、ゴールデンクロスは穏やかな相場で強いと思っていました。
結果は逆でした。一番成績が良かったのは、すでに上昇している相場で出たゴールデンクロスです。
つまり、ゴールデンクロスは底を当てるサインではなく、上昇に乗るサインだったのです。
数字がおかしい
この条件だけで検証すると、勝率も利益率も良くなりました。ところが年率だけが低い。
最初は、利益確定が早すぎるのではないかと思いました。でも原因は違いました。この条件では売買回数が少なく、何も持っていない期間が長かっただけでした。実際に投資している期間だけで見ると、成績はむしろ良くなっていました。
戦略ではなく、見方の問題だったのです。
売買回数を増やす
良い相場だけを狙うと、どうしてもチャンスが減ります。そこで、ゴールデンクロスが出た当日だけではなく、10日以内なら買うことにしました。
結果は予想以上でした。売買回数は増え、利益と損失のバランスも改善しました。今回はこのルールを採用します。
利益をもっと伸ばせるか
次は利益確定の方法を変えてみました。利益が伸びる限り持ち続ける、トレーリングストップです。
学習データでは成績が良くなりました。しかし、新しいデータでは逆に悪くなりました。
調べてみると、学習データでの改善は、たった2件の大当たりのおかげでした。逆に新しいデータでは、利益が乗っていたトレードが5件とも反落していました。偶然の可能性が高いと判断し、今回は採用しませんでした。
データが足りない相場
値動きが激しい相場や暴落相場も調べました。しかし売買回数が少なく、結論を出せるだけのデータがありませんでした。
そこで今回は、無理にルールを作らないという判断をしました。
過去まで調べればいいのか
データが足りないなら、もっと昔まで調べればいい。最初はそう考えました。
実際にコロナショックまでさかのぼって検証してみました。当時の銘柄データをそろえるだけでもかなりの手間がかかり、それだけの労力に対して、増えたサンプルは1年でわずか10件・9件でした。
時間をかける価値は低いと判断しました。
今回分かったこと
今回分かったことは3つです。
- ゴールデンクロスは強い上昇相場で最も力を発揮する
- 良い数字でも、原因を調べると見かけだけの場合がある
- データが足りないなら、無理に結論を出さない方がいい
派手な成果はありません。でも、「分からないことは分からない」と判断できたことが、今回一番の成果でした。
次回
次はいよいよ、完成したルールを実際の運用に近い形で試します。本当に使える戦略なのか、それともまだ修正が必要なのか。答えを確かめます。
中の人の一言
「今日は何の銘柄を買ったらいい?」ぐらいの解像度で始めた今回の試みが、現在のトレンドを5パターンに分類して、結構勝てる地合いを見つけ出すところまで来てしまった。最初の質問には、AIは「何のことですか?」ぐらいの反応だったのに、気づけばかなりガチ目の検証になっている。
AIとの伴走で、こんなふうに人が拡張していくイメージ、皆さんには見えましたか?
