「解体等費用積み立て」のパブリックコメントを書く前に考えてみた

Pocket

最近話題になっている、「解体等費用積み立て」について

経済産業省の偉い人や各界の偉いさんが集まって、

我々のようないかにも悪いことをしそうな太陽光発電事業者のために

ありがたいルールを作っていただいたのですが、

今のところかなり不評、酷評ですね。

一体何が不満なのかちょっと考えてみましょう。

だいたいこんな感じ

太陽光発電設備の廃棄等費用の積立てを担保する制度に関する詳細検討

四角四面にしたらこう

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000214479

詳しくは上記資料な感じですが簡単に書くと

FIT10kW以上の場合、運転開始10年後から10年間、

発電量に応じて売電料金入金前に勝手に差し引く仕組みができます。

徴収されたお金はパネルを廃棄するかパネルを交換する時

とのことです。

再エネ普及のためのルールなの?

この話FIT根本見直しからやっている話ですが、もう「廃棄積み立てありき」

その財源を管理する天下り団体を作る事大前提で話が進んでいるように見えます。

そもそも

FIT20年終了後は、卒FITで低圧事業者としてやっていこう!!

と考えているところからすると

「中途半端な時期に金だけ取られて、取り戻せる時期はいつになるかわからない」

という制度になっています。

低圧事業者を長期継続するとしたら、へたるのはまずパワコンであることは

容易に想像がつきます。FIT終了するかしないかの時点で交換することになります。

本当に金が要るのはその時なのに、この制度では一切パワコンに対して手当できません。

FIT20年以降もちゃんと事業を継続しようと考えている事業者になんのインセンティブもなく

逆に終わらせた方がよくね?と示唆するようなルールが何故作られるのか?

全く分かりません。

10年以上財源を無駄遣いされる可能性が高い

低圧発電所1基で年間でざっくり10万円程度を10年間に渡ってということなので

100万円、〇〇マニアさんとかの規模になると2000万円ですか(笑)

徴収される金額はだいたい分かっていますが、実際に使う金額は分かりません。

最終的にパネルを売却して解体費用が100万円かからなくても、費用は戻ってきませんし

利子など全く付きません。

事業者側からするとこちらで運用した方がよっぽどましなのでやめてくれ!!

と考えていると思います。

逆にできた制度を利用する観点で、

資金を取り戻すためにFIT終了タイミングに無駄にパネルをリプレイスする

という事業者の行動を誘発し、

いらない廃棄パネルを増殖させる

という全く意味のわからないゴミ増殖作戦教唆の制度ではないかな?

と思ったりします。

実は放置案件には意味がない

実際にパネルを放置、不法投棄することが問題だから何とかしよう!!

という趣旨の制度だと思うのですが、

パネル放置については

空き家問題と同じで、所有者が行方をくらましてしまう(もしくは亡くなる)

という状況で、代理で片付けようにも強制代執行すらできない現行ルールのもとでは

太陽光発電所も同じような感じになることがほぼ分かっています。

不法投棄については

これ言うと僕が埋められるので言えませんが、

表面上見えないだけで減らんでしょ(笑)

最終処分のエビデンスを発行できる企業となって、パネルを海外に売りさばければ

ウハウハで儲かりますね。

というわけで

本当にちゃんとやろうとしている部分に背を向けて、FITのルールが20年であり

その枠内でFIT終了時のごく一部のリスク回避のために妙なルールを作ろうとしています。

ただ、この議論すでに長い事やっていて、パブコメって基本プロレス的な感じですよね。

「広く意見を聞いたんだから文句ないよね?」的な

本音は「やめて」なんですが、やる前提で考えたときにどうコメントすべきなのか

事業者の目からみて「せめて、まともなルールに変えてもらえませんか?」

というものだと思います。

20年以上事業継続する意思のある事業者としては

「パワコンの洗い替えも取り戻し要件として加えてほしい」

と思います。

この制度により赤字になる事業者さんへ

さて、いつのまにか名前の変わった「解体等費用積み立て」は連系後10年なので

後で効いてきます。

源泉徴収なので連系10年後に急に10%程発電量が減ると思って諦めてください。

加えて、今度は発電側基本料金という、今回の「解体等費用積み立て」の倍ほどの

こちらも源泉徴収になると思います。

費用徴収が後付けであることが既に決まっております。(金額は要検討だそうです)

という感じですので、年のキャッシュフローがなんとかプラスの間は踏ん張って頂いて

「後だしじゃんけん分」をなるべくキープ頂ければと思います。

パブリックコメントはこちらです

経済産業省に発電事業者が率直な意見をすることにより

適正な未来を作りましょう。

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620121005&Mode=0