これからの出力制御が分かるエネ庁系統ワーキンググループ議事

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出力抑制低減の決め手

日経新聞(11月12日の記事)によると経済産業省で12日に有識者会議が開催され今後の出力制御の見通しと出力制御低減に向けた対応について議論されたようです。

以前の記事(出力制御のダメージを読む)で書いた疑問は結構タイムリーで対策が公開されることになりました。

開催資料

http://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/shin_energy/keito_wg/018.html

これをすべて見るにはかなりの根性がいりそうですので、トピックを解説してみたいと思います。

一周した出力制御

出力制御グループ

この図が分かりやすいと思います。特別高圧をグループ分割したものと、福岡県を北九州と福岡に分割、あとは各県をグループとした合計8グループを指定ルール(オンライン)と新・旧ルール(オフライン)をそれぞれの方式で制御したようですね。

詳細はどのようなものか我々には分からなかったのですが、今までの6回の出力制御で一通りの太陽光発電所に対して出力制御は1回はかけた。という状況のようです。

実施状況としては、特別高圧は100%実施、高圧(500kW以上)については90%実施となっており、高圧の10%については、過失や運用上のミスなどで対応できず、次回に持ち越しで制御実施されたようです。

低圧発電所については言及されていませんので、チェック自体がまだなのかもしれません。

出力制御までの経過について、資料では10月21日の例を出して説明がありました。

ここでは、揚水発電と蓄電池を使ったピークシフトや関門連系線を利用した域外送電を使って420万kWほど電力調整をしていることが書いてあります。

九州電力の運用面での技術というのは凄いものがありますね。

原発3.5基分の電力を調整してしまう訳ですから。

しかしながら、その調整力を持ってしても今回の出力制御は回避できなかった訳で、その対策が有識者会議で論じられたわけですね。

対策案とは

エネ庁からの対策案は4点ありました。

1)連系線のさらなる活用

2)オンライン制御の拡大

3)火力等の最低出力の引き下げ

4)出力制御における経済的調整

連系線のさらなる活用

九州電力と中国電力をつなぐ関門連系線を今年の年末完成目処で増設しており、約30万KW追加送電が可能な状態となることが予定されているそうです。
これが完成した暁には10月21日と同程度の制御量であれば約4割減の出力制御で済むと予測しているようです。

オンライン制御の拡大

これは、旧ルール、新ルールの太陽光発電所は前日に電話連絡する必要があり、指定ルールは出力制御装置がついているため、2時間前に連絡となります。
直前の方が電力が予測しやすく、前日であればある程度余裕を見て制御指示を出さざるを得ないそうです。
つまり、出力制御装置をつけた方が事業者側の損失が減りますよ。という提案のようです。

火力等の最低出力の引き下げ

3年かけて、火力発電所やバイオマス発電所の出力を調整できるように改良していくというのがこの案です。
現状これらの発電所は発電機の制約で出力を上げたり、下げたりするのに非常に時間がかかり調整電源としての使い方はできない状態であり、この状態から最低出力を30%~50%ぐらいまで調整可能なように発電所を改良するというのがこの案です。
最大70万kW程度の電力調整幅が出来る予定とのこと。

出力制御における経済的調整

平たく言うと、大量の対象発電所にいちいち出力制御をするには運用コストがかかりすぎるのでお金で解決するための方法を模索しますね。という案です。
特に出力の小さい太陽光発電所が大量にある状況で全ての太陽光発電所に制御をかけて結果を検証し続ける事がかなりナンセンスであるということに気づき始めたということでしょう。
巨大な出力制御システムの変わりに売電振込みのシステムを使えば、電力事業者がなんと言おうとフェアな状況は作り出せそうですよね。

結局どうなるのか?

対策の1)と3)の一部が即効性のある対策のようですので、出力制御の実施回数自体は少なくなると思われます。

明確な値はある程度直前にならないと分からないという事になりますが、資料から類推するに半減といったところでしょうか。

(10月20日と同レベルの制御の場合は7割減、10月21日と同レベルの制御の場合は4割減となる想定のようです。)

あくまで目安ですが、ごましおは以前の記事(関西から見る出力制御)で種子島レベルの出力制御なら年間15%ほど売電に影響あると予測しました。(51日/365日=だいたい14%)

そこから相対的に考えると7%あたりになるのではないかと予測できます。

(あくまで個人的な予測ですが)

重要な事は、国は今回の事で「太陽光に対して梯子を外してないよ」とメッセージを送ってくれたと思います。

あわせて、毎年50万kWずつ再エネは増えている事も計算に入っていて、今回の対策は一時的な対処療法でしかないことも既に分かっているようです。

このまま関門連系線を増設し続けると、今度は中国電力が電力調整不能に陥りますよね。

そうして、主要3電力のところまで波及するのは、そう遠い未来ではないような気がします。

抜本的な対策をせつに願います。

特に我々事業者も積極的に協力できるような「蓄エネ」推進を早急にお願いします。

ごましおも調整力をちょっとでも持てるようになる為に何ができるか考えていきます。
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