2050年カーボンニュートラルの世界を覗いてみる

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再エネは今年夏頃まで先行きの閉塞感がハンパなかったですが
首相交代でカーボンニュートラル宣言が出たあたりからかなり潮目が変わってきたように思います。

今回はそのあたりを覗いてみましょう。

閉塞感の要因

再エネ普及をけん引してきた太陽光が2つに分断され、
ルールがかなりがんじがらめとなりました。

おなじみの小規模な方は「地域電源」という括りで

・低圧全量は廃止
・余剰は30%の自家消費が必須
・「地域電源」は自治体とのタイアップが必要
・シェアリングは規制でがんじがらめ

軒並み先行きが殆ど絶望的。実質進められそうなのは建物の余剰という状況。

一方大規模については、事業計画の難易度がかなり上がっています。

・系統の空き容量がないとのことで、
系統連系できる土地が超限定されている
・各地で反対運動や逆風が強くなっており
規制が厳しくなっており事業計画を進める事が超難しくなっている
・調達方式が入札となりファイナンスについてもハードルが高くなっている


今までは、特定の事業者がどんどん発電所を建設していく方式で加速度的に
太陽光発電所を増やしてきましたが、ここにきてより多くの人が自分の関わるところだけ再エネ投資しなければ普及がはかどらない方式になってきています。

なんとなく見えてきている方向性は

・とにかく賦課金をこれ以上増やすな
・ズルするな、公平にやれ

というもの。
いたちごっこの末の、がんじ搦めの規制だらけの状態で身動きが取れない状況
今まで群がってきていた、事業者、企業にも撤退が目立ってきました。

再エネがレッドオーシャンになる前に失速して良かったのかも」という本音もチラホラな2020年前半でした。

2050年カーボンニュートラル

2020年10月の事になります。
我らが菅総理の所信表明演説で出てきてちょっとおなじみになった単語でしょうか。
CO2の排出、吸収を合わせて0にする。
「CO2をこれ以上増やさないよ!!」という事でございまして、
トップダウンで指示が出ました。

最近特にメディア報道される事が増えてきました。

・蓄電池の補助を考えるね!
・再エネにもうちょい補助金だそうかなぁ

とか、その他諸々、日々新聞紙上賑わっております。

先月の話ですが、小泉さんが環境省は2030年再エネ倍増(40%にするってことらしい)を宣言しましたね。

総務省からは、河野大臣がすごいリーダーシップ取られていますね。

再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース
第1回開催
https://www.youtube.com/watch?v=OcuSpw_1aBk

第2回開催
https://www.youtube.com/watch?v=LcTpk3T7U1g

第2回などは、頑として規制についての姿勢を変えない農水省担当をフルボッコにする感じで事が進んでおります。

どうやら再エネが進むらしい

トップ命令は「カーボンニュートラル」なのでして、「都市圏以外は樹海にする!!」という方向性でも目標達成はできそうなのですが、
どうやら「再エネを推進するぞ!!」という方向性で進むようです。

「はて?どうなるとカーボンニュートラルなの??」

達成数値がさっぱり分かりませんがこんな感じでしょうか。

・燃やす系のものが極力禁止
・燃やす系の代替え手段促進
・植物をどんどん増やす(伐採禁止?)

やばっすね、事業計画認定済の山林を早く開発しなくっちゃだわ・・・

発電分野では

2050年はあまりにも遠かったので、
その手前の「小泉さん発言 2030年再エネ倍増」を見てみましょう。

現状の2030年エネルギーミックス計画はこのようになっておりまして

順当に行くならば再エネ倍増すると

・原子力再稼働なく再エネが代替えエネルギーとなり
・火力発電は低効率石炭火力に引退してもらい火力発電所20%減

こういう姿になるようです。

レッドオーシャンきたる

すごく頼もしい「規制等の総点検タスクフォース」などの先で
再エネを進めやすい環境ができたとしてです。

2030年再エネ40%達成おめでとうございます。
2020年再エネ20%ですから、現在の倍の供給量です。
下は我らが九州電力の大晦日のベースラインです。


赤が太陽光発電の供給量。
つまり、10年後人口減により若干さがった需要に対して
赤い線の高さが2倍になった供給量となった未来。
こんな冬場の空調需要が高い時期はいいですが、

空調需要がなく、太陽光がバンバン発電する春先、特に5月はやばいっす。

2020年5月5日12:00の需要730万kWに対して太陽光の供給量555万kWという実績
ということは
2030年5月5日12:00は需要は1割減想定の670万kWに対して

太陽光の供給量は倍増の1110万kWってことですね。

現段階での調整力では4割の発電電力を捨てる(出力制御を回避不能)ということです。
怖すぎますね。

はい、経済は需要と供給のバランスで価値が決まるものです。

2020年大晦日の価格がこれですから、

そうなると2030年頃の春のお昼の電力料金は底辺張り付きの可能性濃厚です。

100歩譲って、出力制御は受け入れたとします。

ただ、国は値段のつかない時間帯の電気を10年前に約束した価格で本当に買取続けるのでしょうか?

国「ちょっとFIT無理なんすけど、電力市場での値段低すぎるから払えない」

電力事業者「えー?それ国民から賦課金として巻き上げたらいいじゃん?」

国「ちょっと聞いてみますね。」

国民「ふざけんな!おまえら支持しねーからな!!」

国「財源ないのでやっぱ無理でした・・・お支払いできません。」

電力事業者「馬鹿野郎!約束破るのか?頭来た。裁判じゃああああ」

国「わかりました、お支払いします。

その代わり、発電側基本料金導入してそこに電力市場との差額を転嫁しますね。

ルールメーカは我々ですので!」

電力事業者「・・・」

考える程に不毛な未来が見えるので、観点を変えましょう。

次に狙いたいのは一旦蓄電しての夕方のゴールデンタイム売電

しかーし、蓄電池に投資したいものの、
それには自分の発電所のFIT単価が12円になってしまうという事実も同時に受け入れなければなりません。

まったく、なんでFITにはこんな不合理ルールができてしまったのでしょうか。
実際問題無理ですね。

さて、

再エネが普及しました。
結果あなたの財布にダメージがどんどん蓄積されています。

そんな世界をあなたはどう思いますか?

我々にできる事は、

・パブリックコメントすることと
・今後の蓄電池の情勢を見守る
・自分の発電所での昼間の電気の使い方を考える

これぐらいでしょうか。

何か釈然としてまとまりませんが、今回はこのあたりで